日々の泡

ついったでは書ききれない感想など

【映画】『ハクソー・リッジ』感想

■評価 ★★★★☆(3.7/5.0)■感想 この作品は、戦争映画であると同時に、異端者の英雄譚だった。 物語は、主人公デズモンド・T・ドス(アンドリュー・ガーフィールド)の幼少期の記憶から始まり、成人して恋人に出会い、軍に志願するようになった経緯。そして、宗教…

【映画】『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』(キンプラ)初心者向け感想

■評価 ★★★★★(5.0/5.0) ■感想 感想を書くにあたり、私には、この映画の素晴らしさを描写するだけの文章力が無いということを、最初にまず明言しておかねばならない。私の言葉では、この壮大すぎる映画の魅力を語り尽くせない。だが、こんな唯一無二の感覚を体…

【映画】『光』(河瀬直美監督)感想

■評価 ★★★★☆(3.9/5.0) ■感想 この映画を観終えたとき、私は「耳で映像を観る」という感覚を初めて味わった。その時見た景色は、時間を経た今となっても、私の脳内で鮮やかな残像となって生きている。 しかし『光』を観た人全員が、これを体験できるわけでは…

【映画】五月に観たその他映画感想

『ワイルド・アット・ハート』(1990年デヴィッド・リンチ監督) ◼評価 ★★★★⭐(3.9/5.0) ◼感想 「暴力とセックスにまみれたオズの魔法使い」 デヴィッド・リンチ監督は、ツインピークス(S1~S2)やブルーベルベット、マルホランドドライブ等はこれまで観たことがあっ…

【映画】『マンチェスター・バイ・ザ・シー』感想

◼評価 ★★★★⭐(4.2/5.0)◼感想 家族や大事な存在を、突然不本意な形で亡くした時、人は、今日と同じように明日が来ること、未来が当り前に続くことが、信じられなくなる。生の呆気ない幕切れを目撃した人は、より良い未来を信じることなんてできずに、刹那的に…

【映画】『パーソナル・ショッパー』感想(ネタバレあり)

◼評価 ★★★⭐⭐(3.3/5.0)◼感想 突然だが、私は幼少期を日本有数の信仰深い土地で過ごしたせいか、自身の信仰以前に、昔から魂の存在を信じている。 そして現在は『新耳袋』を始めとした多くの実話怪談集本の蒐集家であり、『幽』等の怪談雑誌の読者であり、平山…

【映画】『ゆれる』感想(2006年・西川美和監督)

◼評価 ★★★⭐⭐(4.3/5.0) ◼感想 フィクションの多くは、キャラクターの台詞や言動によって、その人の心情や内面や過去を明快に表現することで、ラストへと導き、観客に問題が解決したという満足感を与える。だが、実際の生活において、必ずしも私達は自分の心情…

【映画】『スウィート17モンスター』感想

◼評価 ★★★⭐⭐(3.9/5.0)◼感想 主人公の女子高生ネイディーンは、幼少期を振り返って「この世の中には『勝ち組』と『負け組』の二種類の人間がいて、私はいつも『負け組』だ」と語る。 そんな彼女を見て、観客である私は、こんな風に自分の十代を振り返る。 「…

【映画】『帝一の國』感想

■評価 ★★★★☆(3.9/5.0) ■感想 「男らしさを究極的に突き詰めるとシュールな笑いが生まれる」という現象をギャグとして描く作品が、この世にはたびたび生まれる。たとえば、昭和の傑作少年漫画『魁!!男塾』がその典型であったのに対し、2010年代の今は、この『…

【映画】『3月のライオン 後編』感想

◼評価 ★★★★☆(4.3/5.0)◼感想 「暗いトンネルを抜けた光の先に」(前編の感想についてはこちらをご覧下さい→http://mayringooo.hatenablog.com/entry/2017/04/04/200214) 後編を観終えた時、この『三月のライオン』という映画が何を描いたのかを、ずっと頭の…

【映画】『美女と野獣』感想

◼評価 ★★★★☆(3.9/5.0)◼感想 「魔法が魅せる映像的カタルシス」 むかし私は(一昔前の)ディズニープリンセスものが苦手な女の子だったので、今回の実写版も観に行くべきか二の足を踏んでいた。けれど先日雑誌ELLEに掲載されたエマ・ワトソンのインタビューを読…

【映画】『うつせみ』感想(2004年キム・ギドク監督)

観終えた時、なんとも言えない浮遊感にとらわれ、しばらく抜け出すことが出来なかった。 これはまるで、荘子の「胡蝶の夢」ような世界だ。 私が蝶になった夢を見ていたのか、蝶が私になった夢を見ているのか……。現実と夢の間をさ迷う、不思議な陶酔感が、こ…

【映画】『ブエノスアイレス』(1997年)感想

■評価 ★★★☆☆(3.7/5.0点) ■感想 「地球の裏側で繰り返される男達の愛と憎しみ」 映画にはそれぞれ、その人にとって観るべき時があるようで、そのような時分に幸運にも巡り合い、観た映画は一生の宝物になる。だが、そうでない時に観た映画は、どんな名作であ…

【映画】『T2 トレインスポッティング』感想

◼評価 ★★★★☆(3.9/5.0)◼感想 「クズ男達のミドルエイジクライシス」 ヘロインまみれの20代を描いた前作から20年。月日は流れ、再びマーク・レントンはエディンバラへと戻ってくる。 映画冒頭は前作と同じく、人が走る姿から始まる。思わず甦るあの疾走感。ただ…

【映画】『はじまりへの旅』感想

◼評価 ★★★☆☆(3.9/5.0)◼感想 「家族もの感動ロードムービーかと思いきや、観る人の良識を問う問題作」 家族ものの感動ロードムービーかと思いきや、この映画は、観客である私達が普段信じていた価値観に対し、絶えず疑問を突きつけてくる社会的な問題作だった…

【映画】『リップヴァンウィンクルの花嫁』感想

■評価 ★★★☆☆(3.7/5.0点) ■感想 「不器用に現代を生きる女の子のおとぎ話」 この物語は、現在の日本社会を生きる、とある不器用な女の子のおとぎ話だった。 前半は、主人公の結婚とその失敗、転落を描く。 皆川七海(黒木華)は派遣教員をやっているが、仕事は…

【映画】『LION ライオン 25年目のただいま』感想

◼評価 ★★★★⭐(3.7/5.0点)◼感想 当たり前すぎて普段私達は意識しないが、人のアイデンティティというものは、往々にして、その人の過去の経験や、帰属意識から生まれ、形作られるものだ。 では、もし自分の中に欠けた過去があったとしたら?自分が何者かが分か…

【映画】「しゃぼん玉」感想

◼評価 ★★★⭐⭐(3.5/ 5.0) ◼感想 最初、ひねくれ者の私は「これってよくある、すれた都会の若者が田舎に癒されて、人生を見直す話でしょ?」と、思い切り高を括って鑑賞に臨んだ。 そして実際、ストーリーの大筋はその通りだった。だが観終えた後、予想外にも胸…

【映画】『3月のライオン前編』感想

◼評価 ★★★★⭐(4.5/ 5.0)◼感想(長いです) 「勝利の意味が少年を成長させていく」物語は、主人公・桐山零が、育ての父である幸田を対局で打ち負かす所から始まる。しかし、勝った後の彼の表情は虚ろで、なんの感情も伺えない。このシーンから、天才少年棋士と呼ば…

【映画】『キングコング髑髏島の巨神』感想

◼評価 ★★★★⭐(4.5/5.0) 『キングコング: 髑髏島の巨神』字幕版を観た。ネタバレはしてないつもりですが、ストーリーにはある程度触れています。◼あらすじ ベトナム戦争終結直後、ある研究者の思惑から、アメリカは未知の島に探索を目的とする調査遠征隊を軍隊…

3月に観た映画まとめ

・「彼らが本気で編むときは、」 ★★★⭐⭐ 母が突然家を出ていった少女トモは、叔父のマキオの家に身を寄せる。そこで、彼の恋人である性転換手術を受けた女性リンコと出会い、同居生活を送ることになる。最初は元男性のリンコに戸惑うトモだったが、母の愛情に…

2017年2月に観た映画の感想

■新作(★はおすすめ度)・「破門」 ★★★★⭐ ヤクザ映画バディもの。質の高いエンタメ作品。自分のようなやおい者におすすめ。 ・「マグニフィセント7」 ★★★★★ 監督のデンゼル・ワシントンへの思いの強さが伝わった。東西南北のイケおじを集めました感。みんなキ…

原作を読んだ人が映画『虐殺器官』を観に行って大変混乱した話(感想ネタバレ有)

先日、映画『虐殺器官』を観て来ました。そして感想はというと……観終えた時、正直ものすごく混乱しました。 project-itoh.com 自分自身は、伊藤計劃ファンという程ではないけれども、主な著作は大体読んだことあるよ……という程度の読者。(ちなみに『屍者の帝…

ジェンダー非対称なこの世界で、「幕末Rock」が男性キャラクターの脱衣を打ち出したということ

2月末の幕末Rock超超絶頂☆雷舞から約ひと月、皆様いかがお過ごしでしょうか。私はといえば、雷舞ロスが日増しにどんどん深刻になり、いまだ魂の一部はまだパシフィコ横浜に残ったまま帰ってくる気配が無いばかりか、夜寝る前にふと再び雷舞の感動を思い出し…

「幕末Rock 超超絶頂★雷舞」が描いた徳川慶喜少年の魂の孤独と救済【雷舞レポ】

2016年2月28日、半年間待ちに待った超超絶頂☆雷舞に、ついに行ってきました。昼の部も夜の部も本当に本当に最高で、昨日からまだずっとフワフワしているような状態です。 break-out.jp どの曲も色々と思う事はあり、全部書いていたら書ききれないのですが、…